「闇金に返済できるお金がないから自己破産したい」「しつこい取り立てに遭っている」とお困りではないですか?
法律上で闇金は認められていませんが、自己破産の手続きで解決できるのか気になりますよね。
この記事では、自己破産で闇金の借金は消えるのかや、闇金と縁を切る方法をご紹介します。
自己破産しても闇金の借金は関係ない
闇金から借り入れた借金は自己破産をすればゼロにできるのでしょうか?
自己破産をすれば債務は帳消しになるため、闇金への支払いも必要なくなる、と考える方も多いでしょう。
しかし、残念ながら闇金の借金は自己破産でゼロにすることはできません。
また、自己破産をしても取り立てが続くケースがほとんどです。
どうして自己破産をしても取り立てが止まらないのか、次の章で理由を解説します。
自己破産の手続き対象にならない
自己破産をしても、闇金の取り立てが続くのはなぜでしょうか?
自己破産で処理できるのは法律上で認められた借金のみです。
しかし、闇金は法律上で認められた借金ではありません。
自己破産手続きの対象になるのは、銀行や消費者金融からの借金になります。
法律上はそもそも貸付がないものとして扱われるため、闇金は自己破産の対象にならないのです。
闇金は法律を守らない業者
「闇金(闇金融)」とは「貸金業登録」をしないで貸金業を営む業者や、違法に高い利息で貸付を行う業者を言います。
正規ではない金融業者という意味で「闇金」と呼ばれています。
貸金業者登録とは、貸金業を営む際に必須の登録です。
これは貸金業法で義務付けられており、国または都道府県知事の認可が要ります。
また、闇金は法律で定められている上限の金利よりも高くを設定している場合がほとんどです。
借金が闇金だけなら自己破産の必要なし
「闇金から借金をしてしまったけど、返せそうにない」そう思って自己破産を考える方もいるでしょう。
しかし、借金が闇金だけなら自己破産をする必要はありません。
違法である闇金には、法律的には返済義務がないためです。
金銭を貸し付ける場合、法律上で金利は年利20%までと上限が定められています。
その上限を超える金利で返済を請求すると、民法上の不法原因給付(社会の倫理、道徳に反する醜悪な行為に係る給付のこと)に当てはまり、法律上返済をする必要はありません。
つまり、闇金への借金はもともと存在しないので、自己破産をする必要もないのです。
自己破産とは
自己破産とは裁判所を通じて借金の返済を免除してもらう手続きです。
裁判所に自己破産の申立をした後、税金、社会保険料など除いて、債権者への借金返済義務がなくなります。
債務整理には「任意整理」「自己破産」「個人再生(個人民事再生)」の3つがありますが、借金がゼロになるのは自己破産のみです。
そのため、生活を立て直すのに最も効果的な手段と言えます。
新たな借金や、ローンを組むことが出来なくなったり、高価な財産は処分されるなどデメリットもありますが、債務者への借金返済の必要がなくなるため、新たなスタートを切れる手続きと言えるでしょう。
ただ、借金の理由が浪費やギャンブルの場合、免責の対象にならず自己破産が認められないこともあるので注意が必要です。
闇金の借金は返済義務がない
闇金には返済する必要が無いことは前述の通りです。
ここでもう少し法律面から返済義務のないことの根拠を見ていきましょう。
借金をすると「借りたものは必ず返さないといけない」という心理が働いてしまいますが、
闇金は一度関係を持ってしまうと、借りた本人のみならず、その勤務先や家族など関係する人を巻き込んで、少しでもお金を回収しようとしてきます。
闇金に対して、落ち着いて対処をするためにも、法的な根拠はどんなものがあるのか目を通してみましょう。
違法な金利で貸している
「利息制限法」「出資法」の2つの法律によって、金銭を貸し付ける場合に設定できる上限金利は、年20%と定められています。
しかし、闇金の借金はこれよりも高い金利が設定されます。
「トイチ」「トサン」「トゴ」という言葉を聞いたことはありませんか?
これは闇金業者が使う金利を表す言葉で「トイチ」は10日で1割の利息、「トサン」は10日で3割の利息、「トゴ」は10日で5割の利息を表します。
仮に「トゴ」の金利で10万円の借金をした場合、10日で5万円、20日で10万円、30日で15万円の利息です。
20日経過した時点ですでに借入額と同額の金利が付きます。
これがどのくらい異常な金利かがお分かりいただけるでしょう。
上限を超えた金利での借り入れをした場合、闇金が利用者に対して返還請求をすることは法律上認められません。
そのため、利用者はお金を返済しなくてよくなります。
違法な取り立てを行う
正規の金融業者や登録業者であれば違法な取り立てをしてくることは、ほとんどありません。
貸金業法21条1項で迷惑行為は全て禁止されているからです。
闇金の場合は、取り立ての方法も法律に反しています。
①早朝・深夜の頻繁な電話
期日までに返済出来ない場合、闇金は執拗な連絡で返済を催促します。
昼夜問わず、1日に何件もかかってくるため精神的に追い込まれることもあるでしょう。
②自宅に押しかけてくる
頻繁ではありませんが、闇金が自宅に押しかけてくることもあります。
近所に迷惑になるほど騒ぎ立てられることもあるようです。
③家族・親類へ取り立てる
債務者の家族に嫌がらせをする闇金業者もいます。
お子さんがいる場合は特に危険です。
闇金がお子さんの学校に連絡を入れることもあり、その結果子供が学校に居づらくなったり、いじめを受けるような事態にも発展しかねません。
過去の裁判例でも返済不要に
基本的にお金を借りたときは、期日までにお金を返済しないといけません。
しかし、不当に高い利息を請求する闇金の借金であれば、利用者に返済の必要がなくなります。
これは民法第708条にも根拠があります。
(不法原因給付)
第七百八条 不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。
出典:民法 | e-Gov法令検索
また、平成20年6月にはこれを法的根拠として、ヤミ金融業者には借金を返還する義務がないと、裁判所が判断した事例があります。
(最高裁判所平成20年6月10日判決)
借主(被害者)は元本についても闇金業者に返還する義務がなく、元利金の弁済として支払った金額全額を損害として、損害賠償請求をすることができると判断を下しています。
参考:ヤミ金融業者に係る最高裁判決の概要について(金融庁)
自己破産は闇金から狙われる
以前闇金から借りたことがあったり、個人情報が漏れてしまったりすると、その情報を元に闇金は営業をかけていきます。
しかし、実際に闇金から勧誘の連絡が来た時、一体どうして自分の情報が知られたのか、なぜターゲットになってしまったのか疑問に思うでしょう。
自己破産すると闇金から狙われると言われています。
以下では自己破産した人が闇金のターゲットになりやすい原因を見ていきましょう。
破産すると官報で公表される
自己破産をすると官報という国が発行する資料に個人情報が載ります。
掲載される情報は以下の4点です。
- 手続きをした裁判所
- 手続きをした日時
- 氏名
- 住所
官報は一般人が目にする可能性はほとんどありませんが、誰でも閲覧可能な資料です。
闇金はこの官報から個人情報を得ていると考えられます。
カードも無く借金もできない
自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が記録されるため、数年はローンを組むことや銀行・消費者金融からの融資を受けること、クレジットカードを作ることが難しくなります。
資金が必要になった時「正規の貸金業者から融資を受けることができないけれど、闇金なら利用できるだろう」と考えると思い、狙っているのでしょう。
連絡があっても闇金は利用しない
このように自己破産をし、官報に自分の個人情報が載ると闇金から勧誘が来る可能性があります。
しかし、闇金を利用することだけは絶対に止めましょう。
せっかく生活が立て直しているところなのに、また借金に苦しむ生活に戻ってしまします。
闇金からの勧誘は郵便物によることがほとんどです。
無視をしていれば基本的に問題ありません。
自己破産なしで闇金と縁を切る方法
闇金は法を無視して、利用者を徹底的に追い込みます。
そのため、一度関わると自力で縁を切ることは非常に困難です。
精神的に追い込まれてしまうことも少なくありませんが、冷静に対応することが重要になります。
どうすれば闇金との関係を断ち切れるのか、詳しく見ていきましょう。
闇金の借金は返済しない
前述したとおり、闇金の借金は返済する必要がありません。
そもそも借金として認められていないものです。
そのため、取り立てがあったとしても、相手にしないようにしましょう。
執拗に電話があったとしても、応対する必要はありません。
毅然として返済に応じない態度を取ることで、闇金に「これ以上催促しても無駄だ」と思わせることができるので効果的です。
被害の証拠を抑えて警察に相談
恐喝や嫌がらせがひどく、実際に被害が出ている場合は警察に相談しましょう。
取り立てに殴られた、家のものを壊されたとなれば、それは立派な刑事事件となります。
警察も事件となれば、比較的すぐに動いてくれるでしょう。
また、執拗な催促で困っている場合でも、証拠があれば警察も動いてくれやすくなります。
闇金との通話内容を録音したり、メールは削除せずに保存したりするのがおすすめです。
闇金に詳しい法律家に相談する
状況によっては警察が対応してくれないこともあります。
そのような場合は、闇金対応してくれる弁護士に相談しましょう。
弁護士に依頼すると、自分の代わりに闇金業者と直接交渉してくれ、最短で即日取り立てを止めることが可能です。
これにより、闇金との関係を断ち切ることができます。
自己破産で闇金の取り立ては止まらない!闇金対策は債務整理以外の方法で
この記事では自己破産をしても闇金には効果がない理由や、闇金と縁を切る方法を紹介しました。
自己破産によって闇金の取り立てを止めるのは、非常に困難です。
そのため闇金の問題を解決するには、債務整理以外の方法で対処しましょう。
ただ、闇金の取り立ては非常に悪質で、一人で解決するのは難しい場合もあります。
そんな時は、闇金対応してくれる弁護士が在籍している法律事務所に相談しましょう。
法律のプロが相談者の代わりに対応してくれるため、スムーズな問題解決に繋がります。
こんな方におすすめ
- 自己破産しても闇金の借金や取り立ては失くならない
- 闇金から借金をしても返済の義務はない
- 自己破産をすると闇金から狙われやすくなる
- 闇金からの取り立てで困っているなら弁護士事務所に相談しよう