自己破産をしたくても、ギャンブルで作った借金では無理だと考える人は多いのではないでしょうか。
しかし、浪費によってできた借金でも自己破産をすることは可能です。
この記事では、ギャンブルなどの浪費によってできた借金を対象に、破産手続きをする場合の裁量免責制度について紹介していきます。
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ギャンブルでも裁量免責で自己破産できる
ギャンブルで作った借金は通常の借金とは異なり、必要に迫られてできた借金ではありません。
そのため、自己破産手続きで整理することができないと思い込んでいる人もいるのではないでしょうか。
しかし、破産手続きには「裁量免責」という制度が設けられており、ギャンブルで作った借金でも自己破産をすることが許される(免責許可を受けられる)ケースがあります。
裁量免責とは
「裁量免責」とは
ギャンブルなど浪費でできた借金でも、その程度が軽微であって悪質でない場合には、裁判所の裁量で免責を許可する制度です。
破産手続きは、債権者の権利保護を目的とする一方で、債務者が生活を再建する機会を確保するための手続きでもあります。
そのため、ギャンブルによってできた借金でも、可能なかぎり債務者が生活を再建できるように自己破産を認めようというのが裁量免責制度です。
ギャンブルの自己破産は個別に判断される
裁量免責は、裁判所が個別の事情を考慮したうえで、免責を許可することが相当であると判断した場合に決定されます。
ギャンブルで作った借金でも、その経緯や理由、金額などは人によって異なります。
そのため、裁判所は個別の事例ごとにいろいろな事情を考慮したうえで、免責を許可してもよいと判断できるようになっているのです。
もっとも、ギャンブルなどの浪費はあくまで「免責不許可事由」に該当するため、必ず裁量免責が与えられるわけではありません。
自己破産が許可されない免責不許可事由
「免責不許可事由」とは、破産手続きにおいて、免責が許可されない行為のことをいいます。
免責不許可事由の種類
- 財産の価値を減少させる行為
- 破産手続きの開始を遅らせる行為
- 特定の誰かだけに返済する行為
- 浪費やギャンブルによる借金
- 虚偽による信用取引
- 帳簿を隠すこと
- 虚偽の債務者名簿を提出する
- 裁判所への説明拒絶や虚偽
- 管財業務を妨害する行為
- 過去7年以内に免責を受けた
- 破産法上の義務違反行為
たとえば、ギャンブルや浪費による借金、財産隠しなどは、免責不許可事由の代表です。
ただし、免責不許可事由に該当する行為だからといって絶対に自己破産ができないとは限りません。
裁判所は免責不許可事由に該当する場合でも、個別の事情を考慮したうえで免責を許可すると判断した場合、裁量免責という方法で債務者に対して免責を許可します。
ギャンブルの自己破産は費用が高くなる
自己破産をする場合、ギャンブルで作った借金が含まれていると費用は一般的に高くなります。
これは、破産手続きが大きく2つの種類に分かれているからです。
裁量免責の破産費用は高くなる
裁量免責が検討されるということは、債務者が免責不許可事由が該当するからです。
次の項目で詳しく説明しますが、破産手続きには「管財事件」と「同時廃止」という2種類の手続きが用意されています。
債務者に免責不許可事由が認められる場合には管財事件として扱われるため、少なくとも手続きをするのに20万円以上の費用が必要になります。
同時廃止が2万円程度で済むことを考えれば、ギャンブルなどの免責不許可事由がある場合には破産費用は高額になります。
管財事件と同時廃止の違い
「管財事件」とは
自己破産の申立時に一定の財産があったり、免責不許可事由に該当する事実が認められたりする場合に採られる手続きです。
「同時廃止」は
自己破産の申立時にめぼしい財産がなく、免責不許可事由に該当する事実が認められない場合に採られる手続きです。
どちらも、手続きの流れや費用などにおいて違いがありますが、もっとも大きな違いは管財事件では破産管財人が選任されるということです。
管財事件になると費用が高くなる理由は、破産管財人に対する報酬が発生するためです。
また管財事件では、債権者集会や配当手続きが予定されているため、事件が終結するまでには半年~1年程度かかります。
これに対し同時廃止では、債権者集会や配当手続きは予定されていないため、一般的に3ヶ月~4ヶ月程度で事件が終結します。
ギャンブルは同時廃止が難しい
自己破産にかかる費用を考えると、ギャンブルで作った借金も「同時廃止」で手続きしたいと思うでしょう。
しかし、このギャンブルの借金の場合は同時廃止として扱われる可能性は低くなります。
免責不許可事由が認められる場合、一般的に破産管財人を選任して当該事由などを中心に調査を行います。
そのうえで、破産手続きに至った経緯やその他の事情などを併せて考慮し、裁判所は裁量免責とするかしないかを決定します。
このように、免責不許可事由が認められる自己破産の場合には、裁判官が判断する材料を揃えるため、管財事件として扱う必要があるのです。
ギャンブルで自己破産を考えるなら
ギャンブルで作った借金は、裁量免責制度があるとはいえ、免責不許可となる可能性はゼロではありません。
そのため、ギャンブルで作った借金で悩んでいる人は、自己破産を考える前に他の方法を検討することも大切です。
任意整理なら借金を減額できる
「任意整理」とは
支払条件などについて債権者と任意で交渉する手続きです。
交渉によっては、将来利息をカットしてもらうことができるため、借金を減額できる可能性があります。
また、取引時期によっては、過払い金(払い過ぎた利息)が発生している可能性もあり、場合によっては過払い金を返還するよう債権者に求めることもできます。
弁護士や司法書士に相談する
借金の問題を解決する方法は、一つではありません。
そのため、借金を整理する場合には借金総額や自分の収支状況などに照らし、自分に適した方法を選択することが必要になります。
しかし、専門知識がない一個人が判断するには難易度が高く、誤った選択をするかもしれません。
弁護士や司法書士など債務整理の専門家に相談すれば状況に合わせた最適な方法を提案してくれるため、安心して借金を整理することができます。
まずは借金減額シミュレーター
現在では、インターネット上でも無料で利用できる借金減額シミュレーターがあります。
借金額や取引期間など、必要事項を入力するだけで、借金減額の可能性や減額される金額などを診断してくれます。
まずは、借金減額シミュレーターを利用して、借金が減額される可能性があるのかを調べてみることが大切です。
あなたの借金がいくら減るのかわかれば、その後の債務整理の方向性も決めやすくなります。
ギャンブルで自己破産しないために
ギャンブルも程度を超えると、ギャンブル依存症になっているかもしれません。
借金をしてギャンブルをするようになり、このような状態になってしまうと、そこから抜け出すことは簡単なことではありません。
ギャンブルが原因で自己破産なんてことにならないように、思い当たる人は早めに対策を打つことです。
カウンセリングを受ける
ギャンブル依存症など、各種依存症を取り扱う医療機関は全国に数多く存在します。
ギャンブル依存症はカウンセリングを受けることにより、各自の状況に合った治療法などを提案・実施してもらうことができます。
自助グループへ定期参加する
「自助グループ」とは、同じ問題を抱えた人が自発的に集まった集団のことを指します。
ギャンブル依存症をはじめ、依存症を克服するためには本人の強い意志が必要不可欠となりますが、さまざまな誘惑に一人で打ち勝っていくことは簡単なことではありません。
自助グループの集まりに定期的に参加することで、自分と同じように依存症の克服に向けて頑張っている人を知ることができ、お互いの克服に向けて支え合っていくことが可能になります。
ギャンブルで自己破産を考える前にまずは専門家に相談すること
ギャンブルによる借金の返済が苦しい場合、選択肢の一つとして自己破産による解決が考えられます。
ただしギャンブルでできた借金は破産法上の免責不許可事由に該当するため、免責を受けられない可能性もあります。
自己破産以外の方法でも整理する方法があるため、まずは、専門家に相談してみましょう。
この記事のまとめ
- 裁量免責は裁判所が個別の事情を考慮し免責を許可する制度
- ギャンブルで作った借金でも裁量免責で自己破産できる可能性がある
- 免責不許可事由に該当する場合には自己破産費用が高くなる
- ギャンブルで作った借金は任意整理でも解決できる
- ギャンブル依存症はカウンセリングなど治療が必要